ニューヨーク・ブラックカルチャーfromハーレム

ニューヨーク・ブラックカルチャーfromハーレム


New York Black Culture Trivia
New York Black Culture Trivia 2000.07.22
Ms. 堂本 の 『ハーレム だより』 (No.20)

ハーレムの街角で #03 『夏の舗道にて』




    ハーレムの舗道はとても幅広い。 マンハッタンの他の地区の2倍は優にある。 その広い舗道を夏の夕方に歩いてみると、そこにはいろいろなハーレマイト (ハーレムの住人)たちが居る。

                 *****

    右手に食料品満載のスーパーの袋を持ち、左手で、 遊びたくてそわそわしている小さな子供の手を引っ張っている仕事帰りの女の人たち。 …ハーレムにはシングルマザーの家庭が多い。 結婚はせずに10代や20代前半で子供を産む女性が多いので、ほとんどの母親は若い。 女性たちは朝、託児所に子供を預けて出勤し、仕事を終えたらまた託児所に来て子供を引き取り、 買い物を済ませてから自宅に帰る。食事を作って子供に食べさせたら、 シャワーを浴びさせ、寝かせつける。毎日忙しい彼女達は、でも、とてもお洒落だ。 高級品ではないし、やや派手めの傾向はあるにしろ、気を使った身なりをしているし、 ヘアスタイルとマニキュアにも凝る。そしてボーイフレンドも、何故か、ちゃんといるのだ。

       *****

    子供たちは既に夏休み真っ盛り。ニューヨークでは6月末から9月第一週にかけて 70日間の夏休みがある。どの子も既に日焼けして、さらに濃いブラウンになっている。 黒人も日焼けするのだ。首周りと二の腕にはラインが出来ているし、ライト ・スキン(色の薄い)の子供たちは皮も剥けている。

    そして子供たちも、もちろんお洒落だ。 特に男の子。短パンは必ずバギー。カラフルなシャツは前ボタンを止めず、 下に着ている白いランニング・シャツを見せる。スニーカーはもちろんナイキ。 5歳にして一人前のヒップホップ・ファッション。 その出で立ちで自宅アパートメント前の舗道に出、バスケット・ボールに熱中する。 ブレイドを揺らせた女の子たちはダブルダッチ(2本仕立ての縄跳び)。一息入れ たい時には、50セントを握ってアイシー(シャーベット状の氷菓)の屋台へと飛んでいく。 *****

    年配の男性たちは歩道に椅子とテーブルを持ち出してドミノ・ゲームかトランプ。 隠退済みか、もしくは失業中の彼らは、他にこれといってする事もない。 4人のプレイヤーを何人もの見物人が取り巻き、ゲームの進行をあれこれとコメント付きで見守る。 それをアパートメントの窓から眺める老人。頬杖をついているヒジが痛むのか、 窓枠には折り畳んだタオルが置かれている。その老人の目の前を、 ゆっくりと横切ってゆく斑模様の猫。午後8時。夏時間だから、空はまだまだ明るい。 9時まではnight ではなく evening と呼ばれる。 *****

    人々は舗道で頻繁に挨拶を交わす。近所に住む人のことは大抵知っているのだ。 子供でも顔見知りの大人を見かけたら、ごく当たり前に“Hi.”と言う。 どこか昔懐かしいハーレム、夏の風景。

    New York Black Culture Trivia 堂本かおる
    HP: http://www.nybct.com
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書・木村怜由

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