ニューヨーク・ブラックカルチャーfromハーレム

機能不全ファミリー　26歳のビッグママ

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ ■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆ 　　　　　　　「ハーレム・ジャーナル」 　　　機能不全ファミリー　26歳のビッグママ。 　　　　　　　　　　　 2010.1.9 Saturday ■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆ ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼ 英語では non functional family（機能不全家族）とか、 broken family（崩壊家庭）とか言うのだけれど、 ニューヨークに来てから無数に見てきた。 親が子育てできないというのが、もっとも多いパターン。 理由は 貧困、病気、精神疾患、アル中、ドラッグ、刑務所収監といろいろだけど。 だから里子に出されて大人になった人も見たし、 幼い兄妹３人が里子に出されていて、 その面会に臨月のお腹かかえてやってくる母親も見たし、 里子に出されている10代の女の子が妊娠したという話を聞いたこともある。 数日前、あるフリーペーパーのデザインをやっていて、 はめこんだ記事の内容がこれまた強烈だった。 ハーレムに住む26歳の黒人女性。 写真を見るとなかなかの美人さんで、気だても良さそうな感じ。 彼女はシングルマザーで、仕事をしながら８歳の息子を育てている。 ……ここまではよくあるパターンというか、 黒人社会だとほぼ「標準」なライフスタイル。 ところが３ヶ月前、 彼女の母親がどうにもこうにもならなくなり（その理由は割愛）、 長女である26歳の女性は、まだ幼い弟妹３人を引き取った。 その弟妹というのが、11歳、７歳、そして生後３ヶ月。 （つまり、母親は末っ子が生まれた瞬間に手放したことになる。） （さらに言えば、 この赤ちゃんがいつまで「末っ子」であり続けるか、誰にも予測不可。） ……子育てできないワケありのお母さん、最初に書いた臨月の女性、 どちらも日本人的には、「なんで、そこまで産み続けるの？？？」である。 けれどゲットーというキビしい環境で、 自身も崩壊家庭に育った女性に、 いわゆる「まともな家庭」は、なかなか築けない。 なぜなら「まともな家庭」を体験しておらず、 未知のモノを作り上げるのは、とても難しい作業なのだ。 たとえドラマや映画、またはオバマ大統領一家をテレビで見て 「まともな家庭」がどういうものか、イメージとして認識してはいても、 それを実践するノウハウを持たない。 加えてゲットーの男の多くも崩壊家庭で育っているので、 やはり「まともな夫／父親」になれない。 女性にしてみれば、 夫または子供の父親となるべき男性が最初から欠落している環境で 「まともな家庭」を作れるはずもないではないか。 だからこそ、 自分の息子と３人の弟妹を育てようと奮闘している26歳の女性のガッツに驚く。 26歳って、まだまだ遊びたい盛りなのに。 こういうのって、生まれつきの資質なのだろうか。 ニューヨーク・ハーレム・ジャーナル 堂本かおる　 ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ ニューヨーク・ブラックカルチャー・トリヴィア http://www.nybct.com ニューヨーク事情ブログ：ニューヨーク・ハーレム・ジャーナル http://nybct.jugem.jp/ ハーレム・ツアー http://www.harlemjp.com/ ＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ .