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NYの美容ガイドのことなら・・・ NAGASE HIDEKI~hair make~まるごとNY版コラム
2007.02.17 ・ No. 11

「シャンプーのはなし」


    ニューヨークに住んで、アメリカンなシャンプーを使いだし「髪がきしむ様に なった」と感じている人は多い。昔から「アメリカのものは洗浄力が強い」 みたいに思われていて、その為だと思っているが、実はそうでもない。

    まず、日本のシャンプー業界事情からお話しすると、80年代くらいまでは、 「毎日シャンプーするのは良くない」と言われていた。実はこれもチョット 誤解されている感が強く、実際には「頭皮を清潔に保つ事は大切だが、髪に 対しては 当時のシャンプー剤の洗浄力が強すぎた」です。1週間に1〜2回 しかシャンプーしないのが常識だった時代のはなし。

    そのころ「朝シャン」という言葉が流行った。今ではあたりまえの事なのに・・・。 そうして、洗浄力がマイルドであるという事が、シャンプーの売れ行きに最も 反映されるキーワードとなった。その時代から今まで、日本では ず〜っと 「マイルド神話」が続いている。

    本来、頭皮に良い要素と、髪に良い要素はチョット違う。頭皮にとっては、 毛穴に溜まった余分な皮脂をしっかり落とした方が良い。細かい事をいうと、 成長ホルモンの分泌が多い 夜にシャンプーして毛穴を清潔にしていた方が良い。 洗顔料と同じく、自分の皮脂量などに合った、強すぎず 弱すぎない洗浄力の物で、 毎日シャンプーするべきだと思う。

    一方、髪の事を考えると、洗うたびに髪 表面の皮脂が落ちて、キューティクル があらわになるので、洗浄力はマイルドでコンディショニング効果の高い物の 方が良い。これは痛んでいる髪であればあるほど言える事です。例えば、無添加 の石けんシャンプーが良いと言う人がいますが、もしかしたら頭皮にとっては 良いかもしれませんが、髪にとっては、特にダメージヘアにとっては非常に 過酷な状況にあるといえます。

    そんな訳で、ジレンマな状態にある事は確かであるものの、現在 日本で一般的に 販売されているシャンプーは、「マイルド神話」の中にあって、充分にやさしく、 むしろ頭皮の洗浄(健康)の部分に不安が残ります。理由は以下の通り。

    ここで固有名詞を出すと問題がありますが、03年に大手K社から、あるシャン プーが発売されて以来、「アジ**ス効果」といわれる現象が起きました。 簡単に説明すると、本来なら新製品を発売するにあたって、販売価格に見合った 開発研究費をかけ、新しい製品を創るのですが、そこのコストを削り、鉱物性 油分やシリコン、つまり擬似的なツヤを出す為の添加物を、既存の活性剤に プラスし、開発研究費が浮いた分を広告費にあてる。メジャーなタレントや モデルに、売れ筋の曲をあわせ、イメージ戦略に徹する。これが当たり、マー ケットの仕組みが、実質からイメージにシフトしてしまいました。

    「アジ**ス効果」は一時のトレンドかと思われましたが、案外そうでもなく、 ついには06年に 大手S社も「TSU**KI」を発売。これでもかという人気モデル 総動員と、SM*Pのイメージソングは、超おなかいっぱいCMだす。。現在の日本の シャンプーの多くは、シリコンいっぱいでコーティングし、「世界が嫉妬する髪」 を作り出している訳ですな。

    ひとくちにシリコンと言っても、ここ10年での開発は目覚ましく、美容に 使われるシリコンだけでも数百種あり、一般にシリコンコーティングすると、 チョット「重め」の仕上がり感になります。日本人は欧米人よりも髪が太くハリ があり、多く広がりやすいので、そういった方や、ハイダメージ毛の方にとっては、 まとまりを感じる点で 望ましい事かもしれません。でも それによって、洗浄力 が低下しますし、頭皮(顔も含め)に人口物質である、シリコンが付着し残留 する事も考える必要があります。頭皮に対して心配な点は、こんな感じでしょうか。

    一方、アメリカを含め欧米のシャンプー剤では、シリコンではなく、植物オイル などで潤いやツヤを出しているものが多い。欧米人の髪は細く、ボリュームが 出にくい為に、重い仕上がりになるシリコンは好まれない。

    では、洗浄力はどうでしょう。アメリカンなボディーソープを使った事がある方は 経験あると思いますが、体を洗った後 どんなに流しても、かなりしつこいヌメヌメ が残るタイプが多い。この感じ、日本人にとっては気持ち悪いかぎりです。 日本人はつっぱらない程度にスッキリするタイプが好み。これは、アジア人が おおむねオイリースキンなのに対して、欧米人がドライスキンな為であります。 ナイモノネダリ的に、ファンデーションの仕上がりなんかでも、日本人はマット、 欧米人はツヤのある肌になりたがります。

    そんな訳で「マイルド神話」に関して、実はドライ体質な欧米人の方が先輩なので あります。


    長瀬英貴
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書・木村怜由

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