ＮＹの美容ガイドのことなら・・・ NAGASE HIDEKI~hair make~まるごとNY版コラム
2007.04.01 ・ No. 07
「カワイイの世界進出」
ご存知の方は多いと思うが、女性に対して「カワイイ」という表現を使うのは、 日本くらいだ。韓国や台湾、それから最近の中国首都圏に住む 若者の一部では、 日本のファッションに関心が高く、表面的には近いものの、日本のそれとは根底 の部分でチョット違う気がする。 日本以外に、文化として独自の「カワイイ」を持つのはフランスくらいかな？ 中学時代、さぼりっぱなしだった英語の授業で、「大人の女性に対してCuteと 言ってはいけない」と先生が言っていた事だけは、やけに覚えている。確かに、 ちぃっちゃい女の子に言ってるみたいな気がしてしまう。 以前わたしは、日本人が「カワイイ」を好きな理由として、日本におけるファッ ションが未成熟である為ではないかと考える部分があった。企業でも各業界でも 社会でも、人間の成長と同じ様に、成長の段階があるものだと思うが、いずれ 日本でも、大人っぽいものが好まれるのではないかと・・・今でも、ある部分 では これも間違っていないと思っている。数年前までの日本人は、セクシー だったり 強いものは苦手で、何となく尻込みしてしまったり、アンダーグラウ ンドな世界として解釈されるだけだった。 最近では「エロなんちゃら」みたいな表現にも慣れてきて、今後ますますセク シーやエロティシズムを、ストレートに求める女性が増えるだろうし、世の中に 受け入れられ易くなるはずだと考えられる。卵が先かニワトリが先かみたいな 話になるが、おおよそ男性が女性に対して求める要素と、女性が追い求めるもの は、かなりイコールに近い。女性に対して褒め言葉はイロイロあるが、お国柄や 文化が違えば、それは案外 変わってくる。 アメリカに至っては、「セクシー」がメインワードとなる。アメリカ人だけでは なくて、アメリカに住む女性 全般から、「この人はセクシーになりたいんだな?」 と感じさせられる。という訳で、アメリカに住む男性は、セクシーな女性を求め ている、となる・・・ところが、実はそうでもないんじゃないかな?と感じている 所から、「カワイイの輸出」を考えている。 チョット話がズレるが、わたしが帰国し、東京での出店を決めた理由の１つに、 こういった直感があった。世界に進出しよう、勝負しようと考えた場合、方法の １つとして、その分野における世界の中心へ行って活動し、そこで結果を出すと いう方法があると思う。美容では、ロンドン、パリなども選択肢に入るが、わたし が求める観点ではニューヨークだった。確かに多くの点で世界の中心を感じ、 かけがいのない経験をした。 ところが、ニューヨークに変にしがみつくより、日本にベースを持って、日本人 アーティストとして、しっかりとした活動を続ける事が正攻法であると感じる 瞬間があった。わたしの勘では、数年の間に、日本人アーティストが世界から ピックアップされる時期が来る。 なんか全然関係のない話のようだが、わたしにとっては、その勘に対しての理由 づけとして、実は関係のある話。外国は案外 日本を理解していない。彼らの感性 の範囲内で、おもしろおかしく捉えている感がある。日本人女性には、古くから 女性としてのあり方、奥ゆかしさなどの精神性、作法など、美学の様なものがある。 どんなに欧米化しても、そういった精神性は脈々と受け継がれている。それが 日本人の心に「かわいらしさ」を共通感覚として生み出す。そんな訳で、直訳で 「カワイイ」＝「CUTE」されているものの、日本人が考えるカワイイは、実は CUTEという英語で表せない。 こういった精神性や美学そのものを輸出するような形であれば、「カワイイ」が 世界のムーブメントとなる可能性は高い。「カワイイ」という言葉がブランド化 する。日本文化や日本人が、本当の意味で認められた時、現代に生きる日本人は、 国際人としてどういう態度を貫けるのだろう？なんかそっちの方が心配。。。
(SALON) http://www.nagase-hair.com/
長瀬英貴 |
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