No. 18 2002.02.02
『 ハーレムを訪れる』
しかしその機会が訪れた。コロンビア大学を訪問した帰りにもしかしたらスカース デールに向かうハーレムラインの125Stから乗ったほうが近いのではないかと思っ たのだ。そもそもしょっちゅう乗るハーレムライン。ハーレムという名がつくほどの この線、ならハーレムを是非一度この目で見なくては。そこで60番のバスに乗って ハーレムに入る。 驚いたことにどこを見ても真っ黒だ。いやいや、人種的な偏見ではなく、本当に真っ 黒なのだ。つまり黒人ばっか。いや、黒人しか見当たらない。ニューヨークにもこう いうところがあるんだとづくづく思った。バスドライバーも黒人。ポリースも黒人。 露天商も黒人。しかしアフリカから着たばかりのようだ。フランス語を話している。 店の人も黒人。周りを歩いている人もみんな黒人。白人が一人でもいると目立つ、目 立つ。 ここにはカルチャーがあった。黒人の特有のちぢり毛を編む店まである。髪の毛につ けるオイルを売っている店もある。さらにthrifty shop に入ったら、そこは Salvation Army の店だった。ここの店員も黒人だ。またどの店でも真っ黒のビニー ル袋に品物を入れてくれる。これも真っ黒。露天商に並ぶ飾り絵は黒人の英雄をたた えたものが売られている。 Black is beautiful ! とはよく言ったものだ。彼らは貧しいながらもとても陽気で ある。この意味がわかってくるように思える。CDショップの外には大きなスピーカー が置かれ、がんがんラゲーミュージックが街をにぎやかす。知り合いに会うと大きな 声で互いに話し掛け合っている。なんとも言えず会話がなごやかである。なんにもせ ずにただ道行く人をながめている人もいる。ダウンタウンとはうってかわってこの空 間だけ、時間がゆっくり流れているように思える。 売れそうなものはなんでも道に並べている。古着、履きふるした靴、誰かが捨てた バックパック、靴下など、それらをただ地べたに無造作に並べている。それでも売れ れば商品だ。コーヒー一杯分のお金になればいいのだ。ここには生きるすべを悟った 人達の生き様が感じられる。 わずか30分離れたところにはお金が捨てるほどある金持ちが働くダウンタウン。そし てここでは今日のパンも食べられるかどうかわからない人々がいる。ニューヨークは バラエティーに富んでいる。4ドルといった帽子を$3に値切れるのもここでだけの ことかもしれない。
ノーラ・コーリ
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