No.96 ・ 2007.04.01
『ニューヨークの刑務所を訪れて』
今回の刑務所訪問の目的はゴスペル仲間との参加でした。参加の動機は単なる好奇心 でした。2600人を収容する巨大な敷地に位置する10階建てのこの刑務所は ニューヨーク市の郊外にありました。1985年以来麻薬、覚せい剤の罪で15年の 刑が執行されて以来収容者がいっきょに増え、アメリカ全土に300近い刑務所が存 在するのです。 車で敷地内に入る第一関門では厳しいチェック。さらに建物に入る前にも荷物をすべ てロッカーに入れ、ほとんど身一つで入ります。IDの運転免許証も預け、金属探知機 はベルトの金具にすら反応する敏感なもの。司令室にはたくさんのテレビモニターが 並んでいて、部屋のすべてが写っていました。ドアはすべて自動。しかもそのドアは 10センチの厚さ。鉄格子のドアは古い棟に1ヶ所のみ。ほとんどのドアはガラスば りで相手が見えるようになっていました。隠れるところはないという感じでした。ド アとドアの間にはたいていスペースがあり、次のドアがあくまでそこで待機します。 開閉の音も不気味に大きく、長い廊下に響き渡りました。廊下の壁の色は薄いブルー でなんの味気もない廊下でした。私は遠くに見えるショッキングオレンジの上下を着 た収容者を初めて見たときは、「あ、本ものだ」と現場にいることをつきつけられた 気持ちでした。 トイレの番を待っていたとき、彼らが自由に廊下を行き来しているわきで私は一人緊 張していました。廊下のすべてに監視官が立っていたにもかかわらず、襲い掛かって きたらどうしようなどとからだがこわばっていました。 集会室に彼らが入ってきたとき、彼らと目が合わせられないくらい私は彼らを偏見の 塊で見ていたのです。しかしそんな緊張した私に彼らは、「ようこそ、ようこそ、今 日は来てくれてありがとう。」と温かい目で私を見つめ、大きなごつい手を差し伸べ て握手をしてくれました。その時私は彼ら以下の自分に気づき、どうしようもなく恥 ずかしい思いにあおられました。彼らは私以上に強い信仰を持ち、希望にあふれ、社 会に復帰したら多くの人に正しい道を歩む大切さを語り継ぐと自信を持って語ってく れました。私は彼らに何かを伝えようといったにも関わらず、逆に彼らに多くの教訓 を教わって帰宅したのでした。私と彼らとは実際なんの違いもなかったのです。むし ろ私は彼らの強い、純粋な信仰に圧倒し、心打たれ、涙があふれたのでした。
ノーラ・コーリ
|
また、本サイト運営者はここで紹介する個人・会社・団体とは関係ありません。
少しでも有益な情報を共有すべく、ご意見、訂正・追加情報をお待ちしております。
連絡は、
info@marugoto-shanghai.com までお願いします。
サイトに関する情報提供・お問合せはこちらからお願い致します⇒お問い合わせ
広告も募集中です。お問合せからご連絡ください。