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No.972007.04.22

『ニューヨークと銃』

    日本に住んでいるいた頃、私たちがアメリカへ行くと言ったら、「ええ、じゃ、銃に 気をつけてね。」とか、「こわい国なんでしょ?」という反応を11歳の娘は友人か ら得たといった。私にとって、アメリカはそんなこわい国という印象はなかった。む しろ、自由の国アメリカ、リッチな国アメリカ、なににおいても先進国として自信に 満ちた国だと思っていた。銃のことは知っていた。実際に友人宅で銃を見せてもらっ たこともあったし、子どもたちもそこで銃を実際に手にしていた。

    けれどもここニューヨークに住み始めてから、もっと身近に銃を感じるようになっ た。マンハッタンへいけば、ハーレム街ではときおり銃声が聞こえた。そのときは、 からだに恐怖が走った。自分もこれに巻き込まれるかもしれないという切実感が走っ た。それは、まさに自分の生死がおびやかされるような思いだった。以前マンハッタ ンをタクシーで走っていたとき、銃を使ってのカーチェイスに遭遇した。この時も怖 かった。そして身近で警官が容疑者を逮捕し、手錠をかけるところも目の当たりにし た。我が家の二階の窓には弾丸が貫通したあとが残っている。それだけ銃はここでは 身近だ。

    日本は銃による死亡が比率にして39件に対して、アメリカは1100件という。そ れはなんと28倍である。そしてその原因はやはり銃があることではないだろうか。 銃がなければ、人を銃で殺すこともなくなる。そして弾丸も簡単にそこらへんのスー パーで買えるのだから驚きだ。あの弾丸1個がわずか17セント、つまり20円たら ずと聞いて私はびっくりした。ということは17セントでひとつの命を打ちのめすこ とができるということだ。たったの17セントが命と引き換えになるとも考えられ る。

    けれども銃も弾丸も結局は、それを操作する人間がいるから事態が起きる。それでは なぜアメリカではこんなに銃による死亡が多いのだろう。これはあくまでも推測だ が、おそらくそれは怒りからくるのではないだろうか。この国では怒りを持った人が 大勢いるように思える。それは、多人種、多文化から生まれるこの国のすばらしさの 裏を悟ったものであり、それは、多人種間の緊張でもある。わからない相手と共存し ていることそれ自体が緊張の連続であり、場合によってはそれが裏目にでることがあ る。そしてそれが簡単に爆発する環境がこの国にはあるのではないだろうか。

    医療を受けたくてもお金がなくて受けられない人がおおぜいいるそんな国を豊かと言 えるだろうか?1時間5万円の人と1時間わずか5ドルしかもらえない人がいて、こ んなに貧富の差がある国を豊かな国と言えるだろうか?1週間に80時間働いても、 まともに家賃を払えない人がいる国を豊かな国と言えるだろうか?そして何よりもな んでも黒人男性を犯罪者とでっちあげる国を豊かな国と言えるだろうか?

    ノーラ・コーリ
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    Nora Kohri
    (Overseas childbirth and childcare consultant)
    info@caretheworld.com
    http://www.caretheworld.com
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書・木村怜由

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