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イーストヴィレッジでカスタムシューズを作っている
少し変わった靴屋さんです。
NYイーストヴィレッジの少し変わった靴屋さん
「East Village Shoe Repair」 No.
2006.6.7

「偏見、差別のない世界を目指して〜ニューヨークシティ・プライドパレード」


    6月のビックパレード、“NYC PRIDE PARADE“はNYで行われるパレードの中でも 規模の大きな有名なものです。さて、どんなパレードでしょう?とても有名です ので知っている方も多いと思われますが、ゲイのパレードです。毎年6月の 4週目の日曜に行われるこのパレード、今年は6月24日。52stからウェスト ヴィレッジのクリストファーストリートまでを、ハデに着飾ったゲイの皆さんが 大集合してパレードするとても華やかなものです。

    私達のお店のあるイーストヴィレッジのお隣にあるエリア、ウェストヴィレッジ はゲイの街として有名で、クリストファーストリートといえばこのプライド パレードの発祥の地です。1999年に国定史跡に認定されたゲイバー“ストーン ウォール・イン”(Stonewall Inn)で起きた暴動の後の1970年に行われたデモが 始まりとなりました。

    1969年6月28日にストーンウォール・インで行われた警察の弾圧的手入れに怒りに 狂ったゲイたちが反発・抵抗、数千人規模の暴動に発展して以後3日間にわたる 抗議行動となったそうです。これが世界の同性愛者(ゲイ)解放運動を一気に 推進する大きなきっかけとなりました。

    以前のゲイ達の置かれていた状況はとても厳しいものでした。例え恋人同士でも 同性同士で性交渉をした事が明らかになると、罰金刑、自由刑えお科せられて いたのだそうです。ゲイである事自体が罪であると考えられていたのですね。 この暴動から世界に飛び火した同性愛者者解放への運動とその後の努力によって、 現在はいくつかの州で同性同士の結婚を許すまでなったのですから、この “NYC PRIDE PARADE “の意味の大きさがわかるでしょう!?以前はひっそりと 存在していたウェストヴィレッジの小さなゲイコミュニティー。現在は多くの ゲイの恋人達が手をつないで堂々と街中を歩いている姿も見ることができます。

    私達のお店にも沢山のゲイのお客さんがやってきます。一言でゲイと言っても、 性転換をして女性のような男性、逆に男性のようにひげを生やしている女性、 また全く見た目的には普通でゲイだと言い当てるのが難しい人、色々います。また、 ゲイである事にオープンな人、またあまり自分がゲイである事を大きく言いたく ないという人もいます。そこがちょっと神経を使うところだったりします。多くの ゲイの人達と触れ合う機会がありますが、皆元気でファッショナブル、ユーモアが あってお話上手。しかしながら、そんな彼らもゲイであるがゆえに付きまとう偏見 の目はまだまだあるんだろうなあと感じることもよくあります。

    ある日、ゲイの男の子がお店に座って私やオーナーとおしゃべりしていると、3人 の黒人の男の子がお店に入ってきました。そして、彼にちょっかいを出し始めたの です。“ねえ、彼女?どこから来たのー??”

    そのゲイの男の子を“彼女(She,Her)と読んだのです。こんな風にからかわれる なんて・・・はっきりいって驚きました。彼らが去った後、その男の子はむっと しながら言いました。”全く、やんなっちゃう!なんなのよねー。“そして、 オーナーが言いました。”彼らもゲイだよね?嫌な感じ“。私は彼らがゲイなのに 全く気づかなかったので”ええ、なんで??“とびっくり。

    “なんで、ゲイ同士なのにあんな嫌な態度するんだろうね。”との私の素朴な疑問 にオーナーは言いました。“彼らはゲットーに住んでるからじゃないかな?” ゲットーは、いわゆる多くの低所得者が住む地区。多くの黒人、スパニッシュの 人達が住んでいるのですが、特に黒人はマッチョ思考が強く、ゲットーではゲイ であることを隠している子が多いのです。たまたま開放感のあるヴィレッジに 来て、ゲイの男の子を見つけて、どんな風に接したらいいのかわからなかったの かもしれない・・・。そういえば、このゲイの男の子も最近ハーレムからウィリ アムスバーグに引っ越してセイセイしたと言っていたっけ。ウィリアムスバーグ は若者達が多く住むブルックリンのヒップなエリアで、誰もゲイに対して偏見は ないであろうし、多くのゲイの若者達も住んでいるのですから。そう、この子も 黒人なのでした。一方、3人の男の子達はティーンエイジャーと言う感じで、学校 や家庭でゲイである事を隠すのにストレスを日頃感じでいるのかもしれません。

    常連さんがふっとこんな事を言いました。 “今度、田舎に一週間ほど帰らなくっちゃいけないんだけど、家族の集まりが あってさ。親はいいけど親戚連中に会うのがちょっとね。あーメンドクサイ!まあ、 適当に何言われても流す事にするけどさ。”

    彼の田舎はノースカロライナだそう。ゲイの人達に対しての風当たりは強そうです よね。本人は“慣れてるから“と笑いますが。彼のように家族と気まずいと言う人、 実は沢山いるのでしょうね。しかも彼の家は敬虔なクリスチャン一家で、彼の年は 50歳代くらい、親は70歳代くらいでしょうか?時代的な偏見と宗教的な偏見が あるのでしょうね。田舎に住み続けるのが苦痛で都会に出てくる人たちは多いのです。 しかしながら、都会に住んでいる人でもあからさまにゲイへの嫌悪感を見せる人々 はまだいるのです。

    楽しくて陽気、そしてとっても華やかな“NYC PRIDE PARADE“。その裏側には、 同性愛者解放のために努める人々の情熱と希望があります。パレードを訪れる人達 には人権について少しだけ考えながら、そして大いに楽しんでもらいたいなあと 思いました。

    また、現在では同性愛者の他に、性的少数者(LGBT)、異性愛者、全ての人々を含む 人権を主張するパレードという意識を強く持って行われており、まさに世界の偏見、 差別を無くそう!という強いメッセージが感じられるはずです。LGBTは、L・ レズビアン、G・ゲイ、B・バイセクシャル、T・トランスジェンダーの頭文字を 取ったものです。

    詳しいパレードの情報・17日から24日までのプライドウィークの間に行われる他の イベントはこちらでチェックしてみてくださいね。

    http://www.nycpride.org/home/

    2007.06.07

    ユカ
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    ユカの『イーストヴィレッジ』
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     http://yousworld.com/ny/htm/shoe-back.htm
    ・East Village Shoe Repair:
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書・木村怜由

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